CAFEC フラワードリッパー DEEP27(以下DEEP27)は、非常に完成度の高いドリッパーである。
各メディアが絶賛するように、それは紛れもない事実だ。
しかし、だからといってそれが万人に対してベストな選択肢であるかと聞かれれば、私は決してそうではないと感じている。
DEEP27は、ハンドドリップに対する予備知識や技術をあまりにも必要とするドリッパーであるからだ。
誤解のないように付け加えると、技術や知識がないと美味しいコーヒーが落とせないということではない。斬新であるが故に、使用に向いていない人やシチュエーションもあるということだ。
購入から半年以上、専用フィルターを使い切るほどにはDEEP27を使用してきた私でも未だに新たな発見が見つかるほどである。
使い込んだからこそ感じた特徴や、DEEP27が合う人、またその逆について記していく。

DEEP27のレビュー
お湯抜けが早い
各所でも語られている点であるが、実際に使うと想像していたよりもはるかに速い速度でお湯が落ちている。
そのため、注湯する際に一定のスピード・量でドリッパーにお湯を注ぎ続けるスキルが必要とされると私は感じた。
回転させず粉の中心部に注湯するだけなので、気にするべき点は湯量のコントロールが中心である。
しかし、一度注ぎ始めると一気にお湯がサーバー内へ流れ込むがため、最後まで微妙なスピードを調整しながら抽出しなければない。
もし少しお湯抜けが遅いドリッパーであれば、お湯がドリッパー内部に留まる時間が少しあるため2回目以降の注湯まで多少の猶予がある。1度目の注湯の出来や様子を見て、2度目以降に調整することはそれほど難しくない。多少のブレをドリッパーがカバーしてくれるということである。
HARIOのペガサスドリッパーなどがいい例だろう。
レシピや技術、機材が確立していなくても、ドリッパーがコーヒーを及第点まで押し上げてくれるというのは手軽さを考えると大きなメリットになる。
DEEP27の場合も、ドリッパーの形状によって濾過層が厚くなることで、コーヒーの甘味や旨味を引き出すアシストをしてくれる。私も初めて使用した時に、豆の個性が際立って再現されていたことに大きな感動を覚えた。
その反面、お湯抜けが早いことから絶妙な注湯コントロールが要求される。それにより、若干の違いでも味がぶれる印象が2度目以降の使用ではあった。
他のドリッパーよりも、レシピをシビアに作成し、それを忠実に遂行しなければ豆の特性を十二分に引き出すことはできないだろう。
突き詰めていくと他のドリッパーよりもレシピの使い回しが難しく、豆ごとに抜本的なレシピの再構築を検討したくなる。欲張ってしまいたくなるのだ。
独特な形状を活かしたクオリティの高いコーヒーは作れるものの、そこから更にベストなコーヒーを落とすためのハードルはかなり高いと個人的には結論付けた。
1杯抽出特化である
当たり前のことではあるが、この点にも触れなければならない。
1杯だけのコーヒーを抽出することに向いているが、2杯以上の抽出は不可能だ。
200g前後の抽出を想定していると思われるが、意外と「もっと飲みたい」と思ってしまう量である。
それ以上の量を落としたいなら、他の円錐形/扇形のドリッパーでも簡単に美味しいものを落とすことが出来る。
もう少し量が飲みたいのならば、予め多めに用意して保温サーバーに溜めておけばよいだけである。このために改めて最初からドリップを行うのは、負担に感じる人の方が多いのではないか。
これらの特徴を踏まえた上で、DEEP27が合う人・合わないかもしれない人を以下にまとめた。
DEEP27をおすすめする人
・1杯だけでもおいしいコーヒーを飲みたい
・高品質な豆のフレーバーを最大限まで引き出したい
・納得のいくレシピを極限まで追求したい
・2個目以降のドリッパーが欲しい
DEEP27が合わないかもしれない人
・極端にこだわらす、手軽にハンドドリップを楽しみたい
・ドリッパーの数をできるだけ少なく抑えたい
・多めの量を落とすことが多い
・スケール、温度計などの抽出補助アイテムが充実していない
まとめ ~それでもDEEP27は素晴らしい~
DEEP27について改めて考察・言語化をしたことで、コーヒーの楽しみ方における多様性や、追及した時の奥深さについて再認識することが出来た。
現在も現役で使い続けているが、未だに「もっと美味しく作れたなあ」と思いながら抽出したコーヒーを味わっていることが多い。
だが、その感情は器具に対する不満ではなく、探求心や向上心によるものである。素晴らしい器具だからこそ、自身にもよりハイレベルな技術やレシピを求めてしまうのだ。
DEEP27は、豆の特徴だけではなくコーヒー愛好家の情熱も色濃く抽出できるこだわり抜かれたドリッパーだ。
最後に、私の使用しているDEEP27を用いた抽出のベースレシピを掲載して終わりにしようと思う。
(参考)DEEP27ベースレシピ
豆:15グラム
温度:87℃
蒸らし:細く全体にかかるように30グラム、30秒
注湯:中心に一点注湯。嵩をドリッパーの7割程度の高さまで上げ、維持した状態で210グラム注ぐ。
液量が210ml目安でドリッパーを外す。

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